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歯科用レントゲンはなぜ必要なのか

こんにちは。牧野歯科医院です。

 

近頃気温も暖かくなり、過ごしやすい季節になりましたね。

桜の時期は終わり、そろそろ葉桜が増えてきましたね🌸

去年に引き続き、今年もお花見はできませんでしたね(;_;)

 

感染者数が増えており、変異株も急増していますが、

ここが踏ん張り時!

改めてコロナ対策を見直しましょう。

 



突然ですが、皆さんは歯科医院で

レントゲンを撮影したことがありますか?

歯科医院では虫歯の大きさや、

歯茎の中で何が起こっているのかを見るためにお口の中の

レントゲンを撮ることがあります。

 

その際の放射線量がどれくらいなのかご存知ですか?

 

 

今回は歯科での「レントゲンによる放射線量」

について紹介したいと思います。

 

目次

レントゲンとは

そもそも、「レントゲン」はエックス線を初めて発見したドイツの物理学者の名前です。
正式にはウイルヘルムC.レントゲンといいます。
1885年11月8日に発見し,エックス線と名付けました。

エックス線は放射線の一種であり、放射線にはこの他に
ガンマ線,アルファ線,ベータ線(電子線),ポジトロン線,中性子線など
いろいろな種類があります。

以前は,エックス線のことを発見者に敬意を表してレントゲン線とよぶこともあったため,
今でも“レントゲン写真”,“レントゲンを撮る”などの言葉を使うこともありますが,
現在では正式な言葉ではありません。


「エックス線」をあてると、体の中を通りぬけたときにできる
「かげ」を写真などにうつし出すことで、体の中の状態を見ることができます。

エックス線はレントゲン以外にも、
空港などで行われる手荷物検査にも用いられています。


歯科医院でも歯の状態を確認したり、
歯周病の進行などの確認のためレントゲンを
撮ることがあります。

では放射線を浴び続けるとなぜダメなのでしょうか?
人間の体は、とても小さな「細胞」が
集まってできており、人間の体を作っている細胞は、
放射線をあびると傷ついてしまいます。

それでも、細胞には「自分で傷を治す力」があるので、
少しの量の放射能であれば、問題なく元通りになります。

しかし、そんな人間の細胞も、
たくさんの放射線をあびてしまうと
自分の力で傷をうまく治せなくなり、
それが原因で「がん」などの病気になることがあります。


放射線をあびる量をきっちり管理することが大切ですね。


では日常生活の中で、
人はどれくらいの放射線量を浴びているのでしょうか?

身の周りの放射線

放射線は宇宙から地球にふってきたり、
地球上にある岩などから出ていたり、
空気や食べ物にも放射性物質が含まれています。


人間はいつも弱い放射線にかこまれて生きているので、
少しの量の放射線なら、
人間の体に問題が起こる心配はないとされています。


しかし、1シーベルト(1,000ミリシーベルト)以上の高い線量を
受けると、体に害を及ぼす可能性が高くなります。


では、どのようなものに
どれくらいの放射線が含まれているのでしょうか。

空気

空気中には地層の岩石から放出されたラドンといわれる
放射性の希ガスが発生しており、
気体であることから地中から出て空気中にはもちろん
家屋の中にも入り込みます。


天然に存在する放射線による被ばくの中では、
ラドンによる被爆の割合が一番大きいといわれてますが、
1年間でおよそ1.26ミリシーベルトの
放射線量を呼気により影響を受けています。

大地

地球が誕生した約46億年前から放射性物質は存在し、
大地の中に含まれる自然の放射性物質から
放射線が出ています。

日本国内でも、地域によって放射線の量は異なりますが、
これは大地に含まれる岩石の種類に差があるためで、
放射性物質を含む花崗(かこう)岩が多い西日本の方が、
放射線の量は多くなる傾向にあります。

トンネル内や地下では大地からの放射線が上下左右から出ているので、
人が受ける放射線の量は地上にいるときよりも多くなります。

大地から受ける放射線量は
1年におよそ0.33ミリシーベルトとなります。

宇宙

人類が大気や磁場に守られた地球を飛び出し
宇宙空間に到着すると、
そこは高いエネルギーの宇宙放射線が飛び交う
世界になります。

放射線はがん治療やレントゲンなどの医療に利用される一方、
“被爆“として身体に悪影響を与える一面も持っています。

宇宙には多くの放射線が飛び交っていて、
その宇宙線の一部が、地球にも降り注いでいます。

地球の大気や磁場にさえぎられ、
地上に届く放射線の量はわずかとなりますが、
高い場所の方が低い場所よりも宇宙線による被ばくが
大きくなります。

例えば、身近で宇宙線の影響を受けやすいのは
皆さんも一度は乗ったことがある飛行機です。


飛行機は空高く飛ぶほど、
遮る空気の層が薄くなるため宇宙線が強くなり、
乗っている人は乗らない人よりも受ける放射線の量が
増えます。


宇宙線による放射線量は
1年におよそ0.3ミリシーベルトとなります。

食物

空気や食べ物、飲み物の中にも、
自然の放射性物質が含まれています。

主なものは、カリウム40や炭素14という放射性物質で、
自然界にあるカリウムには、必ず0.012%含まれており、
私たちの健康を保つために必要不可欠な元素の一つで
色々な食材品に含まれています。


私たちは食物を通して約4,000ベクレルのカリウム40を
体内に取り込み、その放射性物質から
年間約0.2ミリシーベルトの放射線を受けています。


例えば干しわかめには1㌔あたり2000ベクレルの
放射線物質が含まれています。
他にも牛乳やお米、魚や牛肉などにも
放射性物質が含まれています。


しかし、こうした食物を通して取り込まれた放射性物質は
時間とともにだんだん少なくなっていく上に、
新陳代謝されるため、体内でほぼ一定の割合に保たれ、
それ以上増えることはありません。

歯科医院でのレントゲン撮影の種類

歯科医院では様々な検査を行いますが
その中のひとつがレントゲン検査です。

硬組織(歯や骨)の状態を、
表層から肉眼では見ることのできない深部まで観察する事ができ、
虫歯や歯周病の状態を把握するための有効な検査法です。

当院のレントゲン検査には主に
・デンタルX線撮影
・パノラマX線撮影
・CT撮影
の3種類があります。

それぞれメリット、デメリットがあり、
目的に応じて使い分けられています。


では1つずつ説明していきます。

デンタルX線撮影

デンタルX線写真です。

こちらは昔からよく撮られていた、
局所的な小さいレントゲンのことです。

メリットとしては、
何か症状があったり、怪しい場所を見つけた際にその部分をピンポイントで
撮るので、より鮮明に特定の箇所が写り、正確な判断がしやすいことです。
また、撮影範囲が小さいため放射線量が少なくて済みます。

デメリットとしては、
約3cm×約4 cmのフィルムをお口の中に入れて撮影するため、患者さんにとっては苦しい方もおられます。

パノラマX線撮影

パノラマ撮影は、お口の中全体を写したものです。

メリットとしては、
一度に全体を見ることができ、歯だけでなく、
顎の骨や鼻の方(副鼻腔など)、顎の関節まで見ることができます。


デメリットとしては、
全体を撮影するためデンタル撮影より放射線量が多いです。
また、細部を確認することには不向きです。

しかし、全体的に広く見ることができるので、定期検診や広い範囲の精査には効果的です。
目で見てもわからない虫歯や歯周病の状態、
顎関節の状態、親知らずの位置、骨の中の病変なども確認出来るケースがあります。


お子さんであれば生え替わりの状態や、
永久歯の数がそろっているか、位置は正常かなどを読み取ることができます。

CT撮影

3つめがCT撮影です。

CT(Computed Tomographyの略)とは、CT撮影装置とコーンピュータ処理による
撮影データを3次元的に撮影することができ、
骨の状態などが正確・高精度に診断できる装置のことをいいます。

従来の一般的な歯科用レントゲンでは判別が難しかった
骨の厚みや密度までも簡単に計測できるようになるので、
より高度な治療が可能になります。


例えば、親知らずの抜歯をする際、
CT撮影をして、顎の骨の中を走行する神経の位置を確認します。
しかし、パノラマ撮影のみの場合、
親知らずと顎の中の神経が重なっていても、位置関係がはっきりしないので、
その2つが離れているのか近接しているのかも分かりません。


その際にCT撮影が有効的で、
いろんな角度から輪切りにした写真が見れるため、
実際の位置関係がどうなっているのかを
きちんと把握することができます!

また、どの歯のどの辺りの骨が溶けて
なくなっているのかもわかることができるため、
治療の際もアプローチしやすいのが最大のメリットです。

とても情報量が多いので、
精密な治療の際に撮ることがよくあります。

そのため、放射線量が前述の2つより多くなるのがデメリットです。

歯科治療でのレントゲン撮影による放射線の悪影響はあるのか…

意外にも身近にある放射線。

体に及ぼす影響はどれくらいなのでしょうか?


上の図のように、
レントゲンの機種や撮影する部位にもよりますが、
歯科医院で撮影するデンタルX線の放射線量は
1枚あたり0.01~0.02ミリシーベルト。
パノラマX線の放射線量は
1枚あたり0.02~0.03ミリシーベルトです。

これは自然界から1年間に受ける放射線の
およそ40~100分の1程度です。

これらの数値が示すように、
歯科医院で撮影するレントゲン写真での放射線量は、
少ないことがわかります。

ですから、歯科のレントゲンによって
障害が起きる可能性は無いに等しいと言えます。

それよりも治療のための必要な情報が得られることの
メリットの方が大きいですね。

妊婦さんへの影響

妊娠中のレントゲンについてはどうでしょうか?

お母様は特に敏感になる方が多いと思います。

しかし、胎児に影響を及ぼすと言われているのは
年間約50シーベルト以上と言われています。

歯科のレントゲンによる被曝量を考えると
・歯科用CTで約500回
・パノラマ撮影では1600回
・デンタル撮影では5000回
に相当する撮影で、ようやく影響が出るレベルです。

また、胸部や腹部に直接照射するような撮影ではなく、
口腔領域に限ったレントゲンですので、
1度や2度程度のレントゲンは問題は少ないと言えます。

万が一、妊娠しているが妊娠が分かる前に
歯科でレントゲンを撮影していても、
まず胎児への影響が出る事は考えられないのでご安心下さい。

それでもどうしても心配な方は、
安定期を待って治療されても良いかもしれませんね。

まとめ

以上のことから、
レントゲンは見えないところを見えるようにする、
歯科治療には欠かせない医療機器です。

レントゲン撮影によって得られる情報は診断に不可欠で、
特に歯と歯の間の虫歯や、歯を支える骨の状態などは
レントゲンでしか見ることができません。

外から見ただけではわからない情報を
たくさん得ることができるレントゲンは、
安全でしかもとても役に立つものなのです。

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